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とは言え、進んで隣にいようという者は居なかった。
どう転んでも自分が引き立て役になるのだから……
さて、さっきからブツブツとつぶやいているアッシーに話を戻すとしよう。
「あたしは……あたしは……したい」
いったい何がしたいというのだろうか。
フラリ……フラリとどこかへ向かって歩き始めた。
行き着いた先は、小さなライブハウス。
ちょうど練習中なのだろう、漏れてくる音が時折止まっては又流れ出す。
「フフ……フフフ……」
ライブハウスから漏れてくる音を聞いたアッシーは、つぶやくのをやめて小さく笑い声を上げていた。
「ここ……。ここにあるのね?」
ライブハウスをじっと見つめて、嬉しそうにクスクスと笑う。
その表情は目的の獲物を見つけたかのように、恍惚とした表情といった方があっているのかもしれない。
最初は小さく出していたその笑い声も、次第に大きくなっていく。
ライブハウスを前にして、いきなり笑い出す女を見て好奇の目や見てはいけない物を見てしまったような表情をする者は居ても、温かい目で見つめる者は居ないだろう。
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