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「さあ、いよいよですね。私も皆様同様ドキドキしています」
アッシー以外は誰も居ない。
けれどアッシーは言葉を続けた。
「では、開けてみます」
そう言ってゆっくりとドアを開けると、中からは様々な楽器の音色が流れ出してきた。
ライブハウスという場所なのだから、バンドの音色が聞こえてくるのは当然と言えば当然だろう。
この日はライブではなく、その場所を借りてアッシーはおそらく……いや、確実に名前すら知らないバンドが練習をしていたのだ。
「たのもー!」
開けた途端にそう叫ぶアッシー。
今までの流れから考えると、「ちょっとよろしいでしょうか?」等というようにアナウンス口調になるのだろうが、なぜかアッシーは道場破りでもする人のような言葉を発していた。
バンドメンバーはツカツカと歩いてくるアッシーに気が付いて、演奏していたその手を止めた。
メンバーの知人だろうかと、アッシーをまじまじと見るのだが当然誰一人アッシーを知らない。
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