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ホワホワと今にも宙に浮いてしまいそうな表情で、心あらずと言ったようにも見える。
「これで叩くの?」
乗せていた手を、スッとスティックの方へと移動させるアッシー。
その行動でハッと我に返ったのだろう、男性はスティックに視線を移し小さく頷いた。
「ねぇ……」
「は、はい?」
上ずった声でアッシーに返事を返す男性。
とうのアッシーは男性の表情になど目もくれず、握られているスティックと視界に入るドラムにしか興味はない。
「あたし、ドラムが叩きたいの。叩いてもいい?」
ドラムに飛ばしていた視線を男性に戻すと、男性の顔がますますカァッと赤くなる。
「どどどどど、どうぞ」
もはや言葉にすらなってない返事だ。
「ありがとう」
差し出されたスティックを手にして、嬉しそうにアッシーは微笑んだ。
おそらく、男の瞳にはアッシーの微笑みが天使の微笑みに見えたのだろう。
うっとりと、トロントとろけそうな瞳でアッシーを見つめていた。
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