初心の想い

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あれこれ考えていたら、 いつもより長風呂になった。 あたしはせっけんの香りでふわふわになったら身体を拭き、着替えてバスルームを出た。 するとソファに座っていた亮はあたしがリビングに入るなり、あたしに話しかけてきた。 『真琴なにがあったんだよ?』 そう言った亮を見ずにあたしは冷蔵庫に入っていたビールをあけながら久々に返事を返した。 「なにって?」 一気にビールを体内に流し込むと、亮の隣に座った。 久々に返事が返ってきたこと。 久々にあたしが横に座ったことで亮は少し驚いた顔を見せていた。 『さっきのだよ。 あたまからなんかビチャビチャだったじゃん…。またなんかどっかで暴れてきたの?』 「…別に。 転んだだけ。」 『んな訳ねーだろ! なにがあったんだよ?』 「亮に関係ないから。」 亮にしか関係ない話なのに、 いつもの流れであたしがそう言うと亮は意外な言葉を返してきた。 『…真琴はいつもそうだな。』 ボソッとつぶやく亮の顔はどこか悲しそうだった。
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