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僕は即座に意味が解らず、その先の説明を待った。
「火をつけたいという目的があったとする。マッチ棒だけでは火はつくれない。擦り板が必要だ。つまり役割だよ。人には、その時々の状況で為すべき役割がある。そういうふうに考えてみてはどうだろう。マッチ棒として活躍する時もあれば、擦り板としての役割に徹すべき時がある」
なるほど。やはりY先輩はかっこいい。同僚のKも、素直に頷いている。
僕は、この日、マッチをポケットに忍ばせて帰ろうと決めた。
―了―
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