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煙草に火がつけられると、マッチ棒はくるっと半円を描くように人差し指と中指の中間に持ち替えられた。火は掌の外側にある。
Y先輩が掌の内側にあるマッチ棒の後端を親指の爪で軽く弾くと、火は瞬時に消えた。
口で吹き消したり、マッチ棒を振り回さずに消火したのだ。そして、マッチの燃え殻は、静かに灰皿へ置かれた。投げ入れずに、それは置かれたのだ。
このひとつの所作にもY先輩の上品な人柄が表れている。
その流れるような一連の手先の動作が板についていると言うべきか、サマになっていると言うべきか、とにかく自然でスマートなのだ。
つまり、かっこいいのだ!
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