Ⅰ..受難の日々の幕開け。

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【受験No.0572】 【受験者名 芹沢 響】 右手に握る小さな紙には味気無い活字で受験番号と俺の名前。 周りには同じように紙切れ片手に、でかい掲示板の貼り紙から自分の番号を探す学生達。 『お、あった。』 吐く息をまだうっすら白く色付ける3月初め。 陽差しはわりと暖かくて、雲一つ無い青空。 その下で特に喜びを表すでもなく番号を見つけ出す。 『・・・ま、一番余裕の学校だったし、当たり前っちゃ当たり前か。』 自分の受験番号を確認した俺は、 安堵ではない溜め息をもらしただけで、余韻もそこそこにUターンしてさくさく歩き出す。 「あれっ!?響じゃーん!どうだったー!?」 俺の名前を呼びながら、同じ高校を受験した友達が遠くから走り寄ってきた。 ・・・なんであいつTシャツなんだ。
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