水晶の魔女

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ユニの話す鉱山とは一時期特殊な鉱石であるパープルハートが取れることから、各地から鉱石目当ての業者がこぞって発掘し、今ではまるで蟻の巣のように穴だらけになってしまった「紫心窟」と呼ばれている鉱山跡です。 紫心窟はその穴を吹き抜ける風が不気味な音を奏でることからしばしば噂や伝説の舞台に使われています。 私も紫心窟には行ったことはあるのですが、危険な場所であることは間違いありません。 近くには一歩踏み外せば命を落とすであろう断崖がいくつもありますし、虹コウモリと呼ばれる猛毒を持つコウモリや魔獣も住み着いています。 「そう……紫心窟の話ね。あそこは危険なの。絶対に行っては駄目よ? 水晶の魔女なんていないのだから」 その日の講義は昼まででした。普段法師は仕事の後、キングダムに寄せられた依頼をこなす役目があるのですが私のような新米には滅多に仕事は回ってきません。 「マリア、これから暇か?」
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