クレセント レーヴァテイン

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〈……また、周辺の目撃情報によりますと、この現場付近にも『黒いマントの少女』が目撃されたということで、警察はこの少女が一連の事件に何かしらの関与があると見て……〉 ニュースキャスターの言葉に、アキトは昨日出会った少女の姿が脳裏に浮かんだ。 黒いマントの少女……それにあいつは俺になんて言った? 『……なるべく古くからある場所がいいわ。何十年、できれば百年以上あるような』 そして新谷の言葉。 『近頃古い建物や場所がよく壊れたり、火事になったりするよな』 アキトは言葉を失い、愕然とした。 まさか、そんなことが……? 「アキト、どうした?顔色悪いぞ」 青ざめていくアキトに、新谷が心配して声をかける。 「いや、大丈夫」 アキトは笑みを作った。 「なら別にいいけど。無理すんなよ?」 いまだに心配そうな表情を浮かべている新谷。 「……」 アキトはしばらく押し黙ると、急に立ち上がった。 「ごめん。用事を思い出したから、今日はもう帰るね」 そう言って鞄を手に取る。 「えっ……あ、ああ」 アキトの急な行動に、新谷の顔には戸惑いの色が浮かんでいた。 アキトは新谷を申し訳なさそうに横目見たが、新谷の見送りを背に家を出る。
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