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『…最悪だ』
真っ白い空間。鼻に付く消毒液の匂い。身体の所々には包帯。
怪我は全治一週間。
その間、一応入院する事になった俺──金澤竜。あ、読みはかねさわりゅうな。
高校一年。だが、俗に言うヤンキーである。
髪は赤く染め、夜には街に繰り出し喧嘩三昧。
たまに女が寄ってくるがちょっと遊んでそのままサヨナラ。
女の敵とも取れる俺は、その喧嘩の仕返しでリンチにあい、こうして病院のお世話になった。
『…入院費どうすんだよ。俺、金持ってねーぞ』
先程財布の中身を確認したら、残金千二百円。入院費には到底届かない。くそ。こんな事ならもっとカツアゲしとくんだった。
やだぞ、この歳で借金は。そう思いつつも、自販機の珈琲を買う俺。
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