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俺の病室は二階の端っこ。だから歩かなければならない。端っこにもエスカレーター作れよ。
そう悪態をつきながら廊下をずんずん進む不良。…何かの罰ゲームか?これ。
『とにかく早く寝よう…』
病室のドアを開ける。と同時に固まった。
ベッドに、別の人間がいたのだ。
金色の長髪。顔は窓を向いているので見ることは出来ないが、女ということは分かる。
『あ…』
しばらく声が出なかった。なぜかは分からなかった。
声に気付いた女がこっちを向く。青色の瞳が俺を映す。
肌は白く、唇は赤い。西洋人形を思わせる容貌に、目が離せなかった。
「…誰?」
綺麗で澄んだ、声。聞いていたくなった。そして馬鹿みたいに正直に答えていた。
『…金澤竜』
すると女はふわりと微笑み、形のいい唇を動かす。
「金澤竜さん。私と、話さない?」
そして判明した。
俺、金澤竜は、目の前の女に一目惚れしたのだと。
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