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俺はパイプ椅子に腰掛ける。女は柔らかく微笑んだままだ。
『名前、は?』
あれ。何で、俺、声が震えそうになってるんだ?
まさか…緊張?
んなアホな。
今までどれだけの女を掌で躍らせてきたんだ!女の敵だぞ!目の前の女を手玉に取ってみろ!(ヤケクソ)
「…雪原ルリア」
『ルリア…ハーフか?』
ていうかこれでハーフじゃなかったら日本人の生態系変わってるわな。
「うん。父様が日本人なの。竜さんは…その…」
『あ?生粋の日本人だよ。この頭じゃ仕方ないな』
自虐的に髪を引っ張って笑う。でも赤だぜ?赤髪って地でいんのか?
「竜さんって呼びにくいな。竜…ちゃんで、いい?」
『竜ちゃんんん!!?』
なんだその可愛らしい感じは!ヤンキーにちゃん付けはねえだろ!?
「だめ、だった?」
きょとん、と目を丸くし、首を傾けるルリア。…反則だ。
『いいよ、もう…』
「やったぁ。竜ちゃん♪」
…超嬉しそうだ。悪い気しなくなってしまった。
「竜ちゃん、怪我いっぱいしてる。どうしたの?」
『ん?や、これは喧嘩したんだよ。集団リンチされてさ』
ルリアが顔を顰める。まあ、見たところお嬢様だし、喧嘩なんて野蛮な奴がするというのが印象強いのだろう。
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