仕草と音楽

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 玄関から転がり出た俺は、急に暗くなった外の光景に目を疑った。 「なんっじゃこれ!!」  さっきまで呆れるほどに照りつけていた太陽は、どこかへ行ってしまっていた。 これでもかと騒いでいたセミの声もピタリと止んで、俺の心臓の音だけがドクドクと響く。 (なんか、やばくね?)  目の前に並んで咲いてるヒマワリだって上を向いてるのに、なんだか自分が急に情けない存在に思えてきたその時。 (待てよ? 太陽が無いのに、ヒマワリは上向いてる?)  ぼやけていた頭に浮かんだのは、“ヒマワリは太陽を追いかける”という小学生でも知ってる事実だった。 真上を向く花と同じに俺は空を見上げ……叫んだ。 「皆既日食かよ! ってかアンタ! 人んちの屋根、勝手に登んなっつの!!」  数年に一回の天体ショーだ。つられてバカなことをやる奴もいる(どっちかてと俺はやる派 )。  屋根の上の奴は俺を見下ろすようにしながら、ゆっくり振り返った。
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