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それは、異様な眺めだった。
太陽と月が重なって洩れる光は、まるで金の輪みたいに光っている。
それをバックに屋根の上に腰に手を当てて立つ、変な奴。
「何者なんだ! アンタ!!」
(俺としたことが、素セリフだッ!)
ヤツの首のストールが、俺が声を張り上げた途端に都合良くなびく。
だんだん太陽が見えて来たせいで相手の格好もわかり始めた。
「お初にお目にかかる! 細田集真君……いや」
「なんで俺のフルネームアンタが屋根の上で叫んでんだよッ! てか気になるとこで言葉切んな!」
「済まない。しかし、ヒーローと言うものは高い所から登場するものなのだ。わかってくれ」
丁寧に頭を下げたかと思えば、ナルシスト感満載の頭を抱えた一人芝居……。
かなりヤバい奴の登場に、俺は呆れた。
「トウッ!」
銀に輝く体は、弧を描いて俺の目の前に降り立った。
体操選手顔負けのムーンサルト。頭は逝ってっけど、運動神経は並みじゃない。
ツッコミ所が多すぎて俺はため息をついた。
仕方ないので最初の疑問だけを改めて尋ねる。
「すげージャンプ~。はい、すごいすごい。で? アンタ何者?」
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