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(アプフェヴァインって何語だよ!?)
とにかく混乱した俺の頭に浮かんだ最初の疑問だ。
根本的にツッコミな俺は、思考が勝手にそっちを優先する。
(落ち着け、俺! 夢に決まってんだこんなのは! そう、ゆ、めじゃねー!?)
自己ツッコミを繰り返す俺の目の前を横切ったのは、二足歩行の三毛だ。
あまりの事に俺が絶句していると、奴は顔を洗いながら目を細めて丁寧にお辞儀した……。
「シュウマ君♪ 助けてくれてありがとう」
「お前、三毛だよな? 地球外生物だったのかよッ?」
三毛は首を振った。
そして四つん這いになったかと思うと、その姿はいきなりテレビの放送終了後みたいな砂嵐で形が作られ、眩しく光った。
「うおッ!?」
俺は目を開けていられないのにタイラーは全然平気らしい。
それまで黙って俺の様子を眺めていたのに、身を乗り出してヤツはこう言い放った。
「リュラ、いたずらが過ぎるぞ?」
「だってパパ! 猫ってかわいいんだよ~?」
(リュラ? ……パパ、だあ?)
驚き続ける俺をよそに、三毛の姿は気付いた時にはすっかり変っていた。しかも、かなりの美少女、だ。
地球上にはあり得ないだろう、薄紫の髪は少しくせのあるエアリーボブ。見えそうで見えないミニスカートの白のワンピース。
首には何の繊維かわからない素材のふわふわなびくストールが巻きついていて、さらに不思議な雰囲気をあたりに醸し出している。
(うっわ、やべー…来たぞ、これは)
俺は耳に血が勝手に集まることに気がついた。
心臓も、おそらくは同じだった。
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