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目の前に現れた美少女に、俺の五感はぶっ飛びかけた。
けどここでも性格ってヤツは勝手に発動する。
「三毛…いや、リュラがあんたの娘!?」
「アプフェヴァインよ! 戦士を目指す、数多の少年たちの中から君が選ばれた理由がそこにある!」
タイラーは目を信号みたいに点滅させながら、俺を指差す。
(人を指差しちゃいけねぇっつうの!)
さっぱり答えにならないタイラーの言葉に眉を寄せた俺を見て、リュラが俺たちの間に入ってくれた。
「パパ! ヒーローのお約束だけど、思わせ振りよりももっとシンプルにしなきゃ♪」
「おお! そうだったな…アプフェヴァイン、君は十年前から三年間。毎年短冊に願い事を書いていただろう?」
俺の肩に手を置いて、タイラーは強く頷く。
なんで右手の親指だけが立ててあるのかは、謎に思わないことにして。俺は渋々頷いた。
「そういや…んなこと書いたよ。けど、本当の願い事は違う」
俺はガキの頃を思い返していた。
玩具なら、何でも与えられたあの頃を。
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