仕草と音楽

6/12
前へ
/24ページ
次へ
目の前に現れた美少女に、俺の五感はぶっ飛びかけた。 けどここでも性格ってヤツは勝手に発動する。 「三毛…いや、リュラがあんたの娘!?」 「アプフェヴァインよ! 戦士を目指す、数多の少年たちの中から君が選ばれた理由がそこにある!」 タイラーは目を信号みたいに点滅させながら、俺を指差す。 (人を指差しちゃいけねぇっつうの!) さっぱり答えにならないタイラーの言葉に眉を寄せた俺を見て、リュラが俺たちの間に入ってくれた。 「パパ! ヒーローのお約束だけど、思わせ振りよりももっとシンプルにしなきゃ♪」 「おお! そうだったな…アプフェヴァイン、君は十年前から三年間。毎年短冊に願い事を書いていただろう?」 俺の肩に手を置いて、タイラーは強く頷く。 なんで右手の親指だけが立ててあるのかは、謎に思わないことにして。俺は渋々頷いた。 「そういや…んなこと書いたよ。けど、本当の願い事は違う」 俺はガキの頃を思い返していた。 玩具なら、何でも与えられたあの頃を。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加