仕草と音楽

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「ちょおおおーっと待ったあッ!!」 少しセンチになりかけていた俺の耳を、タイラーの声がつんざいた! 「んッだよ! 空気読めっつの!」 「君の回想は次回にして、変身について説明しよう」 何処から出したのか、リュラがキャスター付きのホワイトボードを引っ張って来た。 この親子は、意地でも俺を変身させたいらしい。 「まず君にこれを与えよう……一粒、噛みたまえ」 タイラーの手から俺が受け取ったのは、俗に言うミント味のタブレット。 試験前の一夜漬けの必需品だ。 「くれんの? つか俺、三粒食い派」 軽く振って転がり出た三粒を、俺は口に放り込む。 ミントの味かと思っていた予想は、見事に裏切られる事になった。 「ヴ、うをッ!? うがあああーーッ!!」 口に広がったのはラムネの味。だが、舌の上で粒が爆竹みたいに弾け飛ぶ。 刺激が強すぎて悲鳴をあげる俺を、二人は冷ややかに見ながらこう、のたまった。 「一粒で10分♪ 変身したままになるんだよ?」 「変身している間は、技の名と掛け声しか発声出来んよ?」 ――最初にそれを言えぇ!!
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