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上を見上げれば満天の星空。田舎ゆえの天然のプラネタリウムだ。
もちろん親切すぎる聞かなくてもいい神話とか、これとこれを繋ぐとナントカ座……なんていうものはない。
(何にもしらね~けど、綺麗なことぐらいは分かるな)
井戸のポンプを思い切り動かすと、澄んだ水があふれ出た。
少し流してからたまった水を手ですくい上げて飲む。
冷たさの中にほんのかすかに甘みがある独特の味わいが喉を通っていく。
「っかー! うめー」
俺がようやく蘇ったその時。裏の畑でがさりと音がした。
(山猫かイタチか?)
この家には今、俺しか人はいない。両親ともども親戚と法事という名の宴会に出かけているからだ。
(鶏小屋は? 無事だな)
鶏はこの暑い中、ぐっすりと眠っていた。
俺は取って返して畑に回る。無いよりはマシな竹ほうきを装備することは忘れなかった。
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