薔薇とカクテル

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枝豆・とうもろこし・じゃがいも・トマト・ピーマン・なす……俺は街路灯の照らす畑をくまなく見て回った。  けど、ネズミ一匹出て来やしなかった。 (っかしいなー。確かに物音がしたのに)  懐中電灯を持ち出さなかったのを俺はちょっと後悔していた。 置いてあるのは玄関だったし、かなり遠いのが面倒でついついそのまま来てしまった。 (なんか眠くなってきたし、やめとくか?)  目はすっかり暗がりに慣れてきて見通しが利くようになっていた。 星空にはいつのまにか隠れていた月まで登ってきて、真夜中だってのに宵の口より明るいくらいだ。 (しゃーねー。もっかい水飲んで寝るか)  俺が踵を返した、その時だった。 「むにょ? ……わっつ?!」  俺の下駄の先っちょが、やわらかい何かにぶつかった。足元はとうもろこしの葉に隠れていてよく見えない。 俺は恐る恐る屈んで下を覗き込んだ。
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