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生い茂る昆布みたいな葉っぱの下にいたのは、小さな猫だった。
「猫かよ~。おかげで寿命縮んだぜ? おい」
両手で丁寧に抱きあげると、思ったよりもさらに軽かった。
いたずらに軟らかそうな腹をつついてやると、寝ぼけてるわりには文句ありげに「にゃあ」と一声。
(親猫も近くにはいねーし、捨て猫か?)
あたりを見回しても光る眼はなかった。耳もくにゃくにゃに曲がってるまだまだ赤ん坊だ。
放っておけない気持ちが、なぜかむくむくと湧きだす。
「面倒みてやんぞッ♪」
俺は竹ほうきを置いたまま、猫を抱えて家に戻った。
うまい具合にあった竹のカゴに古新聞をちぎっていれて即席のベッドを作った。そこに置いてやってもまだ、眠ったまま猫は目を覚まさない。
(ある意味大物かもな)
ひょんなことからできた三毛の同居人との生活が、この日、こうして始った。
この時の俺は、まだこのあと起こる騒動を知らない。
ようやくやってきた眠気に呼ばれるまま、俺は眠りに落ちた。
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