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デブリーフィングを終えると、すぐさま、ロッカーに向かった。
汗で蒸れたフライトスーツを脱ぎ捨て、シャワールームに駆け込むと誰もいなかった。
ラッキー。
心の中で叫び、あとは蛇口を回すのに使った。
水を出しっぱなしにして五秒くらい待つ。
そろそろというところで、体に向ける。
熱々の温水が身体中の汗を流し落とす。
人間はこの瞬間生まれ変わるんだと思う。
汗を取っ払って、しがらみのなくなった自由な精神に。
シャワールームから出ると、蒸し暑い日本が待っていた。
流し終えた汗が再び吹き出してくる。
身体中をくまなく拭いて制服に着替えると、バスタオルなどを回収ボックスに投げ込み、基地を出るために受付に向かった。
「新貝二尉」
そう呼び止められたのは受付まであと10mのところでのこと。
基地を運営を統括している班長が駆け足で歩み寄ってきた。
「間に合ってよかった」
ゼイゼイ言いながら班長は膝に手を着いた。
「どうかしましたか?」
「まあ、大したことじゃないんだけどね」
荒い息を整え、ようやく切り出した。
「新貝二尉、今日、早番だから二尉の機体を小検査に入れたいらしくて。諸星隊長が」
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