綺麗な汚れ

2/24
前へ
/26ページ
次へ
ただ今、誰かに追いかけられている。宇宙人とかならまだ夢があるかもしれなかったが残念ながら僕はエイリアンには好かれなかったらしい、相手はただの人間だ。 ぱっと見たところだが、相手はいかにも普通の人だった。ちょっと小柄な体躯にぶかぶかのフード。ワンポイントで左手にかなり大振りのサバイバルナイフを持っているところに好感を覚えてたまるか。 かれこれ五分ほど走り回っている気がするが相手は僕に追い付かない。決して離れてはいない。ただ相手が僕に追い付けていない。ただまぁ、僕と不審者Aの足が同じ位、というわけではあるまい。何故なら僕は制服とスニーカー。不Aはタボダボのズボンにぶかぶかの長靴。極めつけにあのフードとナイフ。ただでさえ走りづらい服装なのに視界不良の中、重いナイフを持って走ることがハンデじゃないかどうかと言われたら、僕なら命の為にハンデと言い張るだろうな。まぁ冗句ですよ、皆さん。 それにしてもよく走るなぁ。いやぁ、気持ち悪い。正直体力には自信もなければ実績もないんだけど。Aはまるで疲れを「…ハァ…ガァ」疲れを感じさせる声で唸っていた。まぁ、そりゃそうだ。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加