君と

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陽汰の後ろ姿を少しの間眺めていた。 少し大きくて優しい陽汰の手のぬくもりがまだ頭のてっぺんに残っている。 暖かくて優しい、手。 「なんなの…」 陽汰のぬくもりを消し去るようにあたしは頭を振り払い、着替える用意をした。 「小冬」 校門の前で長い髪の毛を束ねながらあたしの名前を伊織は呼んだ。 「行こっか」 「…気はのらないけどね」 「まだいってんの(笑)?」 伊織はあたしの顔を覗き込んで言った。 「あのね、あたしほんとに苦手なの。唯都の怖さを伊織は知らないからそうやって言えるのよ」 「唯都いいやつだよ」 伊織か髪を束ね終わったのか鏡を見ながら言った。
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