初めて

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「結構楽しいよ?バスケ部のマネージャー」 「なんで楽しいなんてわかるのよ」 あたしは伊織を軽く睨みながら言った。 「だってあたし、バスケ部ですもん」 「だからなんでわかるのよ?」 あたしが話を続けようとしたら伊織があたしの机に座っている陽汰から紙を取り、なぜか名前を書き出した。 しかもあたしの名前。 「ちょっと伊織!」 伊織にはあたしの声なんか聞こえないみたいで、伊織はさらさら~っと学年とクラス、番号そしてあたしの名前を書いた。 「だって小冬がマネージャーになったらあたし、嬉しいし?」 「は?」 「まぁ、あたしも陽汰も小冬が入ってくれることでやる気が出るってことで(笑)!」 「…説明になってないんですけど?」 あたしは伊織の手から紙を奪おうと思って手を伸ばしたけど伊織はひょい、と紙を上に上げた。 「よろしくね、小冬っ」 そういって伊織はあたしの名前を無断で書いた紙を片手に教室から出ていった。
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