統合失調症の君に捧げる

出会い

僕はそれを聞いて、｢大丈夫、ここは都会だし、そう簡単に会う事はないよ｣と言ったが、彼女は車から降りるなり、何かの祈りかおまじないみたいに手を動かして、｢いとこと会いませんように｣と言ってから中へ入った。

中へ入ると、浮き出てくる動物の絵などいろいろな物があった。
｢写真に撮れば｣と僕が言うと、彼女は携帯のカメラで写真を撮りだした。
そして｢本物のカメラは持ってないの、携帯のカメラで写真を撮って、それをネットの仲間に送るのが好きなの｣と言った。
マイペースでゆっくり歩く彼女。
僕はむしろそんな彼女と居る事が楽しかった。
ただ博物館は彼女にとって退屈な場所だったらしい。