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「いいモン作ったから、今すぐオレの家に集合しろ!」
俺に放てる言葉は無かった。早朝から入った着信。電話に出て、"もしもし"の次がこの言葉。少ししゃがれた、中年男性の声だ。
この声の主はよく知っている。頭の中に嫌という程残っている。どんな声だと言われたら、スラスラと説明できる程だ。
加賀屋泰雅(カガヤタイガ)。どこにでもいる普通の高校一年生だ。ようやく高校生活にも慣れて、ちょっとばっかしの余裕が生まれてきた。
今は夏休み。所属しているバスケ部も休みだったから、今日1日出かける予定だった。高校生にとっては、夏休みは濃密な思い出を作るのに最適な日々だ。無駄にはできまい。
だから、俺はこの電話主の家に行くつもりはない。貴重な青春を潰されるわけにはいかないんだ。
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