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「触らないで!」
パシッと鈍い音と同時にキラは叫ぶ
そんなキラの前には放心状態のアスランがキラを見ていた
キラの涙を拭おうとした手は少し赤くなっていた
キラが触られるのを拒絶して叩き除けたのだ
「アスランと同じ顔で、同じ声で僕に近付かないで!」
アスランが傷付いた顔をしても気にする余裕はキラに無かった。
大好きだったアスランに会いたい。
でも、目の前に居るアスランは僕の好きだったアスランじゃない。
じゃあ、僕のアスランは何処へ行ったのだろう?
君が居るからアスランに僕は会えないんだ
目の前に居るアスランを泣きながら睨み付けキラは叫んだ
「アスランを返して!!」
叫んだ直後なにか、違和感を感じてキラはフリーズした様に動きが止まる
「あ…」
何か懐かしい感じがしたと思った瞬間、誰かを思い出しそうになり激しい頭痛がキラを襲う
「っ!く…!」
「…あ…キラぁ…!」
立つ事も出来ない程の頭痛で蹲るキラを心配をしても名前を呼ぶ事しか出来ないアスランはパニックに陥っていた。
―キラ…キラ、おいで―
だれ?
―俺の愛しいキラ…愛してる―
「あぁぁっ!…っ」
更に激しくなった頭痛に叫び、気を失いそうになった時だった。
―キラ…―
どこかの綺麗な広い庭で微笑みキラに手を差し出す青年がキラの脳裏に浮かぶ
「アレ……スさ…」
すでに限界を超え朦朧とした意識の中、優しくキラの目を覆う様に誰かの手が触れ、キラはそのまま眠ってしまった
「あ…ギルバート様…」
泣きながらキラを心配していたアスランは眠ってしまったキラを抱き留めたギルバートを見た
「すまないねアスラン。この子も、まだまだ子供なのだよ」
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