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頬に触れた仁の手は大きくて暖かくてそして少しだけユキの匂いがした。
大きな手、長くて綺麗な指から友也はいつも目が離せなかった。筆や鉛筆を使っている時の仁の手は魅力的でつい授業中に魅入ってしまう事がしばしばだった。ボーッと何処かへ飛んでしまっている友也を見ては仁はいつも「大丈夫か?」と心配そうに声を掛けてきてくる。その度、少し申し訳ない気持ちと仁が心配してくれて嬉しいという気持ちが入り交じり複雑な気分になる。
前に「ごめん。」と謝った事があった。その時、仁は謝られる理由が分からず不思議そうな顔をみせた。
「……何で謝るんだ?」
仁の問い掛けに友也が答えを出す事が出来ず黙っていると上から軽い拳骨が降ってきた。
「何もしてないのに謝るな。びっくりするじゃねぇか。」
「リーダー……。」
そう言って怒る仁の声は優しくて友也はまた何て言っていいのか分からず俯いているとふわりと大きな手が頭に降りてくる。
「お前は何も気にする事ない……。」
まるで子供にするみたいにぐしゃぐしゃと髪を撫でる大きな手に友也は堪え切れず仁に抱き付けば少し驚いた顔をしたが突き放す事はしないでそっと抱き締めてくれた。
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