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柚琉は両手を挙げ参ったの意を表す。
「ギブギブッ。」
慌てた声を出せば武蔵がやっと手を離してくれまともに息が出来るようになる。座り込みゲホゲホと哽返っている柚琉を心配したのかユキが近付いてニャァっと小さく鳴く。足に擦り寄ってくるユキの頭を柚琉が撫でれば気持ちいいのか目を細目大人しくしている。
「……お前はカワイーなぁ。」
その台詞には少なからず武蔵に対しての嫌味が籠められていて細やかな仕返しといったところだろう。
チラリと横目で武蔵の方を見れば武蔵はあからさまに不服そうな顔をして柚琉を見下ろしていた。
「……そーいう事、言うとコンビニ行ってあげませんよ?」
その台詞に柚琉の顔が微かに青く染まり傷付いた目を見せた。
「ひどい……武蔵ぃ………ねぇーひどいと思わない?ユキちゃん……。」
ユキに話し掛ける柚琉の横顔はまるで不貞腐れた子供そのもので可笑しくて武蔵は思わず笑ってしまった。
「………っ。」
「……武蔵………今、笑っただろぅ……。」
恨めしそうに見上げてくる柚琉に思わず一歩後退りしてしまう。ジーッと見つめてくるから武蔵も目が放せなくなる。
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