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友也は仁にしがみ付き上がった息を必死に整えようとしていた。
指の先が白くなる位、強く服を握り締めてくる友也に仁はそっと背中を擦りながら不安を感じていた。
「……なぁ、友也。」
返事がない事は分かっていて低い声でそっと呼び掛ける。自分の腕の中で小さく肩を上下させている友也を見ていると不安はどんどん増してくる。
「お前さ……最近、発作の回数増えてないか………?」
「…………大、丈夫…これ位……。」
そう言うが明らかに辛そうだった。仁は小さく溜め息をつくと「バカ」と一言だけ零す。その声は優しくてでも何処か辛そうで友也はごめんと言い掛けて途中で口を嗣んだ。
「リーダー……。」
「何だ?」
子供が甘えるような声で呼び掛けてくる友也に仁は小さく笑って返事をする。
「……やっぱ何でもない。」
そう言えば「変な奴だな。」と笑うのがわかった。仁はどんな時でも優しくてでも時々怒ってくれて友也は日に日に仁への想いを強くしていく。
傍に居て欲しいと口に出して願えばこの関係が崩れてしまうんじゃないかと思うと恐かった。その願いは自分の我儘でしかなく仁には迷惑でしかない。
そう考えると苦しくなって泣きたくなってしまう。
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