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「なら嘘つくな。迷惑でも何でもないって言ったばかりだろう。」
少しも自分を頼ってくれない友也に不満だった仁は気持ち強く言えば友也が俯いてしまったような気がした。
聞こえてくる微かな息遣いと伝わってくる鼓動が落ち着きなく脈打つ。心臓は血液を送り出すポンプで勝手に動いているがこうも早いと苦しいのは言うまでもなかった。
仁は壁に寄り掛かると友也をそっと引き寄せる。ふいに大きな手に抱き寄せられ友也の心臓は跳ね上がる。
「ほらっ体重掛けてていいから楽にしてろ。」
「……リーダーあったけぇ。」
「いきなり何言い出すんだ。とりあえず今日はもう帰れ。」
そう言えば友也は即座に「やだっ」と返し首を振る。仁は呆れたように溜め息を付く。
「我儘言うな。送ってやるから帰れ。」
「やだっ…絶対、やだぁ。」
「あのな………どうしたら素直に帰る?」
仁の台詞に友也は一瞬、黙り込んでしまう。返事がない友也を不思議に思い見下ろせば友也は頬を美味しそうな程、赤く染めていた。
「……友也?」
小さな呼び掛けに友也はおずおずと潤んだ目で仁を見上げる。
一緒に居てほしいと言葉が喉まで出かかるが引っ込んでしまう。
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