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「そうだな。」 仁は首を捻り考える素振りを見せる。 少し真顔な仁の横顔に友也は思わず見惚れてしまう。凛々しい顔を見ているうちに自分の顔が熱くなっている事に気付いた。 友也は慌てて視線を反らす。 「何か作るか。」 「え?」 突然の仁の言葉に聞き返せば「俺はコンビニ弁当は勘弁だ」と冷ややかな答えが返ってくる。 その言葉には微かな嫌味とからかいが籠められている様な気がして友也は心なし小さくなる。 「俺が作ってやるよ。」 「本当?」 仁がそう言った瞬間、友也の顔が破顔する。 パアッと嬉しそうに近寄ってくる友也に犬みたいだなと思いつつも声には出さなかった。 「何、何?何作るの?」 「じゃあ三択で選べ。」 そう言って仁は友也の前に指を三本立てる。
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