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「これが一番いい。」
そんな事を言われても良し悪しはさっぱり分からず友也は「そうなんだ。」と返すほかなかった。
「……俺も一人暮らしだよ。」
「え…?」
きょとんとしている友也に仁はクスっと笑う。
床に置いていたカゴを持ち上げ玉葱を放り込む。
「さっき、一人暮らしなのかって聞いただろ。」
仁の台詞に友也は驚いて目をパチクリさせる。
聞こえているなんて思ってもみなくむしろちゃんと聞いていてくれたんだと嬉しさが込み上げてくる。
「一人暮らしでもしてなきゃ料理なんて作れても炒飯位だよ。」
可笑しそう言うから友也は自分が何か間違った事を言ったような気分になってきて何だか恥ずかしくなってくる。
「俺は……一人暮らしでも…炒飯位しか作れない。」
拗ねたような不貞腐れたような顔に仁は「弁当ばっか食ってれば当たり前だ。」と零し友也の額をつつく。
「もう少し覚えろよ。何なら教えてやるよ?」
「………疲れちゃってて作る気がしないんだ。一ヵ月に一回がいいとこだよ。」
「そんなんじゃ体に悪いってーの。もっと自分の体の事、考えろ。」
むっとした声に友也は一瞬、肩を跳ねさせる。
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