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何か大事な事を思い出したのか仁は小さく「あ…」と漏らす。
何処か焦った様子で振り返ってくる仁に友也は小さく首を傾げる。
「お前ん家、フライパンあるよな?」
「……一応は………。」
恐る恐る返事をすれば仁はよかったと安堵の表情を見せ肩を撫で下ろす。
「それがないと話にならないからな。」
「あんまり使ってないけど……平気………?」
大の男が不安そうな声を出すから仁はつい「問題ねぇよ」と友也の髪を撫でる。
撫でてからヤバイと思う。
友也が子供扱いされるのを嫌がっているのは知っていたからこんな事をしたら怒り出すだろうと慌てて手を離し見下ろせば予想していたのとは反対で友也は何故か頬を赤く染めていた。
怒っていない様子に安堵したが何故か視線を泳がせている友也に仁は不安になる。
「友也?どうした…?」
顔を覗き込んでくる仁に「何でもない。」と返すが友也の心臓はバクバクいっていた。いつもよりヒドくはないがそれでも立っているのがやっとだった。
異変に気付いた仁はカゴを床に置き肩を支える。
「大丈夫か?友也。」
「………平気……。」
そう言うが明らかに苦しそうで仁は少し悩んだ。
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