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スーパーという人の目が多い公共の場ではさすがにちょっと抵抗があった。
それでも小さく肩を上下させている友也に何と言われようとそんな事はどうでもいいと仁はそっと抱き寄せれば体重を預けてくる。
周りは仁達を訝しげな目で見ては怪訝な顔をしてそそくさと通り過ぎていく。
従業員もどう対応していいか分からず遠目で見ているしかない様子だった。
「大丈夫か?一旦、外出るか?」
「…………平気……。」
仁は落ち着かせるようにそっと背中を擦る。
大きな手と微かに伝わってくる仁の鼓動、仁の体温に段々と落ち着いてくる。
「大丈夫、大丈夫だ……深呼吸して………。」
「……はぁ……はぁ…。」
仁に言われた通り友也はゆっくりと深呼吸するがその度に胸に鈍い痛みが走る。
しばらくして大分、落ち着いてきた友也がおずおずと名残惜しそうに離れる。
見下ろせば胸に手を付き一呼吸ついていた。
「もう大丈夫なのか?」
「……うん………ありがとう、リーダー……。」
そう言えばふわりと大きな手が下りてきてそっと髪を撫でてくれる。
仁の手が暖かくて優しくて友也は小さく笑う。
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