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次の日、教室に行った友也は昨日の男がいる事に驚いたがそれと同時に何だか嬉しくなり気付いた時には声をかけていた。
「あの……昨日は、ありがとうございました。」
友也の声に誰だ、というような顔をして見上げてきたが友也を見た瞬間、男の顔つきが変わる。
「あぁ…昨日の……もう大丈夫なの?」
その言い方からずっと気にしていてくれたのがわかった。何処か心配そうに見上げてくるその眼差しが優しくて友也は思わず頬を染め小さく頷く。
「あのっ……俺、結城友也っていいます。」
そう言えば男は可笑しそう微かに笑った。
「俺は八神仁、よろしくな。」
すっと差し出された右手に友也は少し戸惑いながらも「よろしく。」といいその手を握った。
仁の手は大きくやっぱり温かかった。
この時から多分、俺はずっと挽かれていたんだ。
温かい大きな手と鋭い目元、だけど声は優しくて何処か懐かしい。一緒にいると全て見抜かれてしまいそうなのに嫌な感じがしない。他の人とは違うような気がしたんだ。
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