暖かい手

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 「リーダーっ。」 前に仁が歩いているのを見付け友也は叫ぶと嬉しそうにスケボーを蹴る。 ゴオォォォォォッという雷のような音が辺りに響く。友也の声とその近づいてくる音を聞きながら仁はゆっくりと振り返る。 「よぉ…また乗ってるのか……。」 何処か呆れたような声なのに心配そうな声が混じる。「おはよー。」 友也は仁の隣までくると当たり前の様に服を掴むが仁はそれを振り払う事はしなかった。スケートボードに乗った友也を引いて歩く。歩きにくい筈なのに重い筈なのに仁は嫌な顔を見せる事はなかった。 「また怒られるぞ……。」横目で様子を伺い見れば友也は小さく笑っていた。 「大丈夫だよ。」 そう友也が言った瞬間、後ろの方から怒鳴り声が聞こえ友也の肩が跳ね上がる。「コラーッ!結城ぃ!!お前またそんな物、乗りやがってーっ!!」 凄い剣幕で走ってくる教師に友也はスケートボードを蹴り上げ仁に抱きつく。 仁は何処か諦めた表情を見せ自分と十センチしか違わない友也を背負って走り出し追い掛けてくる教師から全力疾走で逃げる。  日常茶飯事、なんだか毎日がこんな感じで一日が始まる。最初は戸惑っていた仁だがそんな毎日が楽しくなっていた。
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