暖かい手

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 どうにか振り切った仁は木の影に隠れ息をあげぐったりとしていた。 「疲れたぁーっ。」 肩を上下させている仁の傍で友也は今にも泣いてしまいそうな顔をしていた。 「ごめん……リーダー…。」 小さくなっている友也に仁は上がった息を調えながら途切れ途切れに言う。 「こういう時の、それ……禁句って、言っただろ。」「でも……。」 「限りがないんだよね……それ言ってると…。」 「………。」 呆れたような声に友也はますます俯いてしまう。 「もっと簡単な一言があるだろ?」 どうにか落ち着いてきた仁はゆっくりと体を起こすと目を潤ませている友也に腕を伸ばしぐしゃぐしゃと髪を撫でる。 仁の言葉に友也は分からないと言えたそうな目で見上げてくる。 「サンキュな……それだけでいいんだよ。」 仁の声は優しく少しも怒っている様子は感じなかった。低く落ち着いた声はそっと友也の耳を愛撫する。まるで小さい子供を宥めるかのように髪を撫でてくれる大きな手は暖かく友也をホッとさせる。 「……リーダー…。」 「んー…?」 興味なさそうに返事をする仁を友也はおずおずと見上げる。 「ありがとう…。」 「おぅっ。」 仁はそう言って笑った。
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