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土曜日、最終レース前の京都競馬場は寂しい。
その日のメインでオケラになった連中は、背中を丸めながら足早にスタンドを去っていく。
ついさっきまであれ程自分の予想を声高に披露していたオヤジ達も、うらぶれた最終のパドックにはもう見向きもせず、自分自身に言い訳でもする様に俯きながら退場してゆく。
私はというと、予想紙片手に煙草など吹かしながら、その最終のパドックに佇んでいた。目当ての馬が出走するからだった。
一年間ずっとその馬を追いかけてきた。何故だか分からない。馬券でおいしい思いをさせてもらった事など殆どなかった。
そいつはこの一年というもの変わりなく同条件のレースで走り続けていた。つまりは勝てなかったという事だ。
ただ、そいつと私は誕生日が同じだった。
丁度去年の今頃、この日と同じ曇天の京都ダート戦で下級を勝ち上がってからというもの、すっかり足踏み状態が続いていた。初めのうちはそこそこ人気したりもしたのだが、この頃にはもう予想紙でもすっかり見限られてしまっていた。
それでも時折知らぬ間に後方から流れ込んできて掲示板の片隅に載ったりするのだから、少しばかりの賞金をくわえて厩舎に帰る事はあった。
だがいずれにしろノーマークで新聞の馬柱にも印が打ってある事は稀だった。
思い出した様に印が付いていても、そんなときは決まって後方待機のままで終わる、そんな馬だった。
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