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ペアとペアの間は十五分。さっき、侑香里のペアが学校に入っていった。私たちが入るまでの間、彰と他愛もないことを話していた。 「桐谷ってこういうの平気な方?」 「え、あー……まあ、ね。平気、かな」  私はとっさに強がった。強がる必要が無かったと言えば無かったのだが、何故か強がってしまった。そんなことを話しているうちに、私たちの番が回ってきた。 学校に入る。毎日通っている学校なのに、夜に来るとまるで雰囲気が違った。 怖すぎる。 そう心の中で思いつつも、強がって平気だ、と言った手前このまま進むしかない。彰は私の三歩程前を歩いている。 「歩くの速い?」  怖くて速く歩けない私に彰が声をかける。もっとも、彰は私が怖がっていることには全く気付いていないが。 「ううん。大丈夫」  私はなんとか彰と歩調を合わせ、歩いていく。しばらく歩いていると、前の方から悲鳴が聞こえた。この声は――侑香里だ。
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