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山賊はわかっていた。
盗っ人が、刀で脅されたぐらいで全てを渡しはしないだろう、ということを。
山賊と、盗っ人の睨み合いがしばらく続いた。
といっても、山賊が一方的に睨みつけ、盗っ人が縮こまって怯えながら山賊を見つめているという、なんとも言えないかわいそうな光景なのだが。
それから幾らの間睨み合っていたのだろうか、長い長い沈黙は終わらない。
すると、突然遠くの方から声がした。
「劉嘉様!」
声の発生源はこちらの方へ駆け寄ってくる。
ここの村人だ。
ちなみに劉嘉というのは山賊の名前。
「いつもありがとうございます。しかしそやつらも反省しているようですし…逃がしてやってください!」
ひたすら走り続けてきたのだろう。
息があがって、はぁはぁと言ってた。
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