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「このまま即実習と移りたい所だが、その前に復習しておこう」
隅枝先生はそう口にしながら生徒を見渡し始める。
きっと誰かを何かしら当てる気なのだろう。
他の生徒もその気配に察知し、ピタッと、まるで熊に遭遇した時の様に微動だにもしなくなった。
不意に隅枝先生の視線が止まる。視線の先にいるのはベルネの良く知る人物だった。
首筋まで伸びた濃い茶髪に、同じ色の瞳。
中性的な顔。背は160後半。
最近の悩みはベルネに身長で負けた事。
一言で表せば『愛すべき馬鹿』
ウォルフ・ランベルト
〈五行〉の〈土〉。
〈五常〉の〈信〉を司る名家。
ランベルト家の三男坊。ローテンブルク家とは古くからの付き合いで、ベルネとは幼なじみである。
ウォルフも隅枝先生の視線に気付いたのだろう。
刺激しない様にそろーっと顔を反らす。
しかし、それを逃すほど八不思議の女は甘くない。
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