第一章:子狼、召喚される。

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  「はぁ、中等部の問題だぞ全く」  きっとその言葉の次には「面倒臭い」と続くのだろう。 ――そして、そんな事ばかり考えているから 「説明するのが面倒臭いな。 ベルネ。お前ウォルフの代わりに答えてみろ」 ――ほれ、見たことか。 「隅枝先生。違う所は多々あると思うのだが、全てか?」 「ん?ああ。面倒臭いし、簡単にはしょっていいぞ」 「はい。 大きな違いは召喚陣と契約にある。 とくに、使い魔契約は召喚者が破棄、又は死なない限り永久的に続き、契約内容は召喚者に隷属するものであるため、その難易度は計り知れない。 それに対し、召喚獣は契約する必要がない。 それは自らの魔力・魔術により形成された疑似生命体だからだ」 「ん。いいだろう。 流石、優秀だな。 いいか、これから実習に移るが、使い魔召喚ってのは向こうの事情を無視して強制的に呼び出し、隷属させるものだ。 話が通じない事もあるだろうし、いきなり襲われる事もあるだろう。 これは実習であり、授業の一貫だ。 変な意地を張らず、無理をするな。 分かったら、互いに少し距離を置いて始めろ。 しかし、離れ過ぎるなよ、カバーが追いつかなくなるからな」
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