第一章:子狼、召喚される。

9/38
前へ
/42ページ
次へ
   不意に思ってしまう。ああ、こういう所は教師なんだな、と。  そして、同時に思う。 いつもこれぐらい真面目なら良いのに、と。  ベルネは一人グラウンドの隅に来ていた。 隣にいた生徒が契約に失敗して召喚した妖獣が暴れだした為、描いていた召喚陣が潰れ、今度は邪魔されないように離れた所で召喚陣を描き直そうとした為だ。  中等部から高等部に上がると同時に配られた魔法杖に魔力を注ぎ、地面に突き刺す。地面を引っ掻き、描きながら溝に魔力を流し込む。  通り道〈〇〉  人・神・霊〈△〉  四季〈□〉  退魔〈☆〉  一つ一つ様々な意味を持つそれぞれの図形に、組み合わせ、重ね掛け、一貫性を持たせ、一つの独自性の強い魔法陣を創り上げる。  完成度も性能も高い。  一級品の召喚陣だ。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加