第一章:子狼、召喚される。

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   長身の少女。真っ赤な長髪を首の後ろで纏め、真っ赤な瞳は獣の如くぎらつき、鋭利だ。  サラ・ムースペルス  《五行》の《火》  《五常》の《礼》を司るムースぺルス家の長女。 気性が激しく、荒々しい性格。 売られた喧嘩は余す事なく買い、気に入らない奴がいれば取り敢えずぶん殴る。 影では女番長と呼ばれている。  幼い頃は気性の荒さを少しでも治すため、《仁》のローテンブルク家で過ごし(親バカの現当主が一緒になってついて来たため、ほとんど意味が無い)、高校に上がってからは寮の部屋が隣同士の為(学年は一個上だが何故かお目付け役として隣室に入居させられ)、よく一緒に帰るのだ。 「サラ、悪いけど今日は先に帰っててくれるか?」 「構わねぇが、なんだ? ラブレターでも貰って、これから屋上か?」 「そんな訳無いだろ」 「ああ、なら体育館裏だ。どうだ、あたりだろ」 「どうもこうもラブレターから離れろ。これから医務室に行くだけだ」 「なんだ?怪我でもしたってのか?面白そうだ。アタシも行く」 「私は怪我なんかしてないよ、怪我してるのは他の子」 「男か」 「否定はしない」 「面白そうだ。アタシも行く」 「勝手にしてくれ」  ベルネはただため息をつくばかりだった。
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