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バークレイが一呼吸入れ、詠唱を始める。
《我は代弁者であり、代行者であり、代唱者である》
魔法陣が薄水色の光を放ちはじめる。
《道よ道よ繋ぎたまえ》
《道よ道よ開きたまえ》
《道よ道よ通じたまえ》
薄水色の光は風を生じ、バークレイとサラの髪や服を巻き上げる。
《道よ道よ、我は彼の者の代弁者として、代行者として、代唱者として願う。
彼の者を貴公の通ずる先へと導きたまえ》
《瞬間移動詠唱魔法
【ミリジメント】》
薄水色の光はサラを包むと、サラもろとも魔法陣へ吸い込まれて行った。
バークレイはファイルを閉じ、ふぅーっと溜め息を吐くと、本棚へ足を向ける。
「バークレイ先生。サラは?」
「今頃ベッドで寝ているだろうねぇ」
「そうですか、では私はあの子を探さないといけないので…」
「ああ、そうだねぇ。あの子にお大事にとでも言っておいて貰えるかい?」
「はい。失礼しました」
「…お大事に」
バークレイはファイルを仕舞いながら、ドアの閉まる音を確認する。
棚の戸を閉め振り返り、気配が無いのを確認すると、バークレイの体がまるで映りの悪いテレビの様にジラジラと音が鳴り揺らぎ始め、不意に消える。
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