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『大事な物だと?』
「うむ。拙者にはもう、犬神とこの刀さえあれば何も要り申さぬよ」
『シロ。まさか、まだあの事を ー―っ!!』
「がぅっ!!」
その時、足元に丸や三角等の図形が重なった紋様のような物が顕れ、翠色の光を発しはじめた。
『っく!!妖術とは別物!?土蜘蛛衆か!?』
「違う!!……見たことの無い術でござる」
『この百年の間に新しい術を開発したのかもしれない。シロ!!早いとこその紋様から離れろ!!』
「い、犬神ぃ」
『ど、どうした』
「ここ百年何も口にして無かったから」
『まさか……』
「体に力が入らないでござるよ」
『馬鹿ぁぁ-ーーっ!!』
牢の中が一段輝いたと思えば、既にシロの姿はなく、ただギィギィと錆びた牢は鳴くだけだった。
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