第一章:子狼、召喚される。

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   こうして幾つか淡々と並べてみたが(後半は人間扱いされていないが)、これも、ましてや知れ渡っている事さえ、隅枝先生の実態の確証としては氷山の一角に過ぎないのだろう。  本鈴が鳴り、5限目の授業が始まる。図形魔法学の授業だ。  図形魔法学とは、 『丸や三角等といった図形はそれだけで魔力的かつ魔術的な意味合いを持つ』 と考える学問であり、それらを複雑に組み合わせた物が魔法陣である。 「ん。本鈴鳴ったな、授業始めるぞ。  先週は召喚獣の召喚陣実習したと思うが、今日は予定通り使い魔の召喚陣実習するぞ」  そう隅枝先生が言った瞬間、その場の空気が変わった。 嬉しがる者もいれば、不安がる者もいる。 焦燥する者もいれば、澄まし顔をする者もいる。 人それぞれだが、使い魔の召喚陣を意識していることは確かだ。  それもそのはず、使い魔は魔法使いのステータスや実力に直結するものであり、使い魔を持つことは魔法使いになる為の最初の関門であると同時に最大の難関として有名だからだ。
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