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辺りにはカモミールが咲いていたが、今は花びらが散り茎が折れているものがほとんどだった。
「なんだあれ!?」
俺は言葉にならない恐怖のせいか無意識のうちに身構えていた。
しかし左隣にいる長身の少年は、怯えもせず感嘆の声を上げる。
「あれをペットにしたら、怖いものなしだね。すごく強そう」
「……涼君。そんな呑気なことを言っている場合じゃないよ」
白い外套をきた少年が、困ったように端整な顔を歪める。
俺は内心で呆れずにはいられなかった。
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