†始まり†

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それからというもの、青年はめっきり恐くなり、小走りで森を進み出した。木と木の間をすり抜け、後ろを振り返ってはまた先を急いだ。ついには走り出している。 そして30分も走っただろうか。 青年は森を抜けた。 森を背に膝を着き、息を切らす。 それにしても不思議な感じだった。 何時間も歩いたと思ったのに、実際にはほとんど時間は経っていなかったなんて…………… そう考えると青年は急な寒気に襲われる。 青年が初めて"恐怖"したもの。それは荒々しい海でも、凶暴な動物でもない…………………闇だった。 「ぅ………動くな!!」
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